REPORT
2022.12.08
SIW2022 レポート・渋谷アイデア会議「適正飲酒セミナー 〜人とお酒のイイ関係~」
アイデアと触れあう、渋谷の6日間——“渋谷アイデア会議”をテーマに多数のトークセッションやワークショップ、体験ブースなどが展開される「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2022」(以下、SIW)において、スマートドリンキングに関する複数のコンテンツが展開されました。
ここでは、毎年11月10~16日の「アルコール関連問題啓発週間」とも重なったSIWで行われた「適正飲酒セミナー」の模様をレポートします。
SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2022
渋谷アイデア会議「適正飲酒セミナー 〜人とお酒のイイ関係~」
11.10 (木) 13:00-13:30 / 16:00-16:30 / 18:45-19:15(※全3回開催)
@渋谷ストリームホール
<登壇>
縣 祐一(アサヒビール株式会社 企画・支援本部 コーポレートコミュニケーション部)
摂取カロリーのようにアルコール量も気にしよう! お酒の正しい飲み方講座
スピーカーであるアサヒビール株式会社の縣(あがた)さんから、アサヒビール社の歴史や事業についての説明があったのち、「なぜ酒類を提供している会社がこのようなセッションをするのか?」に対して、「お酒は料理が美味しくなる、コミュニケーションが円滑になるなどメリットがいっぱいあります。一方で不適切な飲酒は健康被害やアルコールに関連する様々な問題を引き起こすなどのデメリットもたくさんある」と説明し、お酒と正しくつきあう方法と向き合ってもらうのがアサヒビールの役割であることを強調しました。
またSDGsでも“アルコールの有害な使用”を無くしていこうとした目標が掲げられていることを提示。適切にお酒を飲むことが、サステナビリティな社会を実現するために重要なファクターとなることを説明します。
ここから提示される知識やデータは、普段お酒を楽しんでいる方も意外と知らないものばかりでした。
たとえば、女性が生活習慣病のリスクを高める飲酒量(1日純アルコール量20グラム)を摂取している割合が2010年には全体の7.5%でしたが、2019年には9.1%まで増加していること。この要因として縣さんは「ライススタイルの変化や女性が飲みやすいアルコール飲料の増加」などが考えられるとします。
また世界各国のアルコール摂取量のデータを提示した上で、日本は世界と比較して平均くらいであることを説明。「酔い」のメカニズムも図とともに解説し、「お酒の強い・弱い」を左右するのは遺伝に関係しており、地域差、個人差が大きく、決して鍛えられたりするものではないと言います。
「データによると、お酒に弱い体質の方の割合は日本が44%。韓国が28%、タイが10%で、なんとドイツは0%! ほとんどの人がお酒に強い。人類はもともと全ての人がお酒を飲める遺伝子を持っていました。日本人は縄文人と弥生人の混血で構成されていますが、突然変異によってお酒に弱い遺伝子を持った弥生人が広がったことでこのような割合になったと言われています」(縣さん)
つまりお酒を楽しく飲める量は人それぞれ異なるということを知ることが最初の一歩であり、飲める体質の人と飲めない体質の人とが相互理解することで様々なデメリットを解消できます。不適切な飲酒によるデメリットとして挙げられるのは、健康被害のほか、飲酒運転、20歳未満飲酒、アルコールハラスメント、暴力……など飲酒する人だけではなく、周囲の人にも悪影響を与えてしまうのが大きな特徴です。
ただし、このようなデメリットの多くは多量飲酒が原因となっており、自身の許容量を知り、正しく飲酒をすることで、お酒のメリットを多く享受できるようになるはずです。
「ビール500ml、純アルコール20グラムを分解するのに約4時間かかります。倍飲むと、分解する時間も倍になります。食事に気をつけている人が栄養成分表示やカロリーを気にするように、アルコールの摂取量に関しても知識を身につけ、気にするようになっていただきたいと思っています。最近では、缶容器を中心に純アルコール量が表示されるようになってきました。度数や量から計算しなくても摂取する純アルコール量が把握しやすくなっています」(縣さん)
飲めない人、少しだけ飲める人、飲める人、それぞれが楽しめる量が異なることを知る。さらに自身の適正量も知る。そして誰もが楽しくお酒を飲み(ときに飲まず)、健康的で持続可能な社会を目指す。そんなアサヒビール社のビジョンに強い共感を覚えたセッションとなりました。